「糖質は太るからできるだけ抜いた方がいい」
ダイエットを意識するときに、こんな風に考えたことはありませんか?
SNSやテレビでも「糖質制限ダイエット」はたびたび話題になり、短期間で体重が落ちた体験談も広まっています。
しかし、実際には糖質を完全に抜くと 体調不良・集中力の低下・リバウンド など、健康を損なうリスクが大きいのです。
この記事では管理栄養士の立場から、
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なぜ糖質を抜いてはいけないのか
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糖質不足で体に起こる悪影響
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健康的に痩せるための正しい糖質の摂り方
をわかりやすく解説します。
さらに PECバランス(P=たんぱく質・E=脂質・C=炭水化物) から見た「1日にどれくらい糖質を取ればいいのか」についても具体的にご紹介します。
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✅ 結論|糖質は「太る敵」ではなく、体に欠かせないエネルギー源
糖質は脳や体を動かすための「ガソリン」
完全に抜くと一時的に体重が落ちても、その代償として 疲労・集中力低下・筋肉減少・リバウンド が待っています。
正解は「ゼロにすること」ではなく、量と質を工夫して摂ることです。
✅ 理由①|糖質は脳と体の「ガソリン」
人間の脳は、ほぼブドウ糖(糖質)しかエネルギー源にできません。
そのため糖質が不足すると…
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頭が働かない
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イライラしやすい
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集中できない
仕事や勉強がはかどらないと感じるとき、実は糖質不足が原因のことも多いのです。
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✅ 理由②|糖質を抜くと筋肉が減る
糖質を極端に制限すると、体はエネルギー不足に。
すると筋肉を分解してエネルギーを補おうとします。
結果として…
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筋肉が減って代謝が落ちる
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見た目がやつれる
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太りやすい体質に変わる
「痩せるつもりが逆効果」になってしまうのです。
✅ 理由③|リバウンドが起きやすい
糖質を完全に抜くと、体内の水分が減るため、最初の数日は体重が急激に落ちやすいです。
しかしこれは「脂肪が減った」のではなく、水分や筋肉が減っただけ。
再び糖質を食べれば体は一気に吸収し、リバウンドが起きます。
これが「糖質制限は長続きしない」と言われる理由です。
✅ 具体例①|ご飯を食べた方が間食が減る
私が相談にのった20代の女性がいます。
この方は夜ご飯でお米を抜いていました。
しかし空腹に耐えられず寝る前にお菓子をつまみ、翌朝は菓子パンを爆食い。
最終的には食欲がコントロールできなくなり、結果的に体重が増えてしまいました。
そこで「お茶碗軽く1杯のご飯」を食べるようにアドバイスをしたら夜の間食がなくなり、体重も安定。

ご飯を食べただけでこんなに食欲が落ち着くとはびっくりでした
👉 適度な糖質は「余計な食欲を抑える効果」があるのです。
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✅ 具体例②|スポーツ選手も糖質は必須
マラソン選手やサッカー選手が試合前に「パスタパーティー」をするのを聞いたことはありませんか?
これは「グリコーゲンローディング」と呼ばれる栄養戦略で、試合で必要なエネルギーを体内に蓄えるために糖質をたっぷり摂るというものです。
糖質は筋肉や肝臓に「グリコーゲン」として貯蔵され、運動中にすぐ使えるエネルギーとして働きます。
これが不足すると「バテる」「足が止まる」状態になり、パフォーマンスは大きく低下します。
実際に、糖質を制限していた選手が「最後まで走りきれない」「集中力が切れる」と悩み、糖質を適切に摂るように切り替えたところ、スタミナが改善して記録も伸びた例もあります。
これはトップアスリートだけでなく、私たち一般人にも当てはまります。
例えば…
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ジムで筋トレをする人 → 糖質が不足していると筋肉がエネルギーとして分解されやすくなる
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ウォーキングやジョギングをする人 → 糖質を少し摂ってから運動した方が長く快適に続けられる
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子どもが運動会や部活で力を出すとき → おにぎりやバナナなど糖質源があると集中力が続く
✅ 具体例③|糖質を工夫すれば健康的に痩せられる
「糖質=悪」と考えるのではなく、どんな糖質を、どのタイミングで、どのくらい食べるか を工夫すれば、むしろダイエットは成功しやすくなります。
① 糖質の「質」を変える
同じ炭水化物でも、体への影響は大きく違います。
白米や砂糖は血糖値が急激に上がりやすい一方で、玄米や雑穀米、オートミール、全粒粉パンなどは食物繊維が豊富で消化吸収がゆるやか。
血糖値の上昇が緩やかになると、脂肪がつきにくく、満腹感も長持ちします。
② 糖質の「量」を調整する
「抜く」のではなく「調整」が大事です。
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朝と昼はしっかり主食を食べる
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夜はお茶碗半分に減らす
👉 このように1日の活動量に合わせて調整すれば、体に必要なエネルギーを確保しつつ、摂りすぎを防げます。
③ 糖質の「タイミング」を意識する
同じ量の糖質でも「いつ食べるか」で結果は変わります。
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運動前 → おにぎりやバナナなどを食べると持久力アップ
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朝食 → しっかり主食を摂ることで代謝が高まり、集中力も持続
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夜遅い時間 → 摂りすぎは脂肪になりやすいので控えめに
④ 無理なく続けられる工夫をする
ダイエットは「続けられるか」が一番のカギ。
甘いものを完全に禁止するより、フルーツや小さな和菓子などを少量取り入れた方がストレスが少なく、長続きします。
👉 このように糖質は「敵」ではなく、質・量・タイミングを工夫すれば痩せやすい体づくりに役立つパートナーになります。
極端にカットするのではなく、賢く付き合うことが健康的なダイエット成功の秘訣です。
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✅ PECバランスから見た適正な炭水化物量
ダイエットや健康管理を考えるとき、多くの人が「糖質をどれくらい食べればいいの?」と悩みますよね。
実はその答えは、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」 という公式のガイドラインにしっかり示されています。

こちらの日本人の食事摂取基準というガイドラインは、様々な論文や研究から導き出された、栄養や医療のエキスパート達の知恵や知識が集結して作られたものです。
いわゆるブームのようなネットの流行りの知識ではなく、日本人の食事摂取基準を参考にするのが正解です。(ほとんどの医師や管理栄養士は短期ブームのネット情報は信用に値しないと思っています。)
このガイドラインには、エネルギー源となる三大栄養素のバランス(いわゆるPFCバランス)が以下のように推奨されています。
- たんぱく質(Protein):
13〜20%
- 脂質(Fat):20〜30%
- 炭水化物(Carbohydrate):50〜65%

つまり、炭水化物は1日のエネルギーの半分以上を占めるのが理想なのです。
具体的な量のイメージ(成人・活動量ふつうの場合)
1日の必要エネルギーを 1800〜2200kcal とすると、そのうち 50〜65%が炭水化物になります。
数字にすると 約225〜330g/日 の炭水化物が必要です。
これを食事に置き換えると…
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ご飯お茶碗1杯(150g)=約55g
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食パン6枚切り1枚=約26g
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うどん1玉(250g)=約54g
👉 1日で 主食を3回食べるイメージがちょうど良いバランスです。
🍚 具体的な1日の食事例
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朝食:ご飯1杯+味噌汁+卵焼き
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昼食:うどん1玉+野菜のおかず+鶏肉
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夕食:ご飯1杯+魚+野菜炒め
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間食:バナナ1本
このように「活動量に応じて調整しながら、1日に合計225〜330g」を目安にすれば、脳と体のエネルギーをしっかり確保できます。
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✅ きちんと適正カロリーをとることで代謝がスムーズになり、むしろ痩せやすくなる
❌ 「食べなきゃ痩せる」のは大きな誤解
ダイエットというと「摂取カロリーを減らせば減らすほど痩せる」と考える人が多いですが、これは体の仕組みを無視した危険な方法です。
確かに一時的に体重は落ちますが、その多くは水分や筋肉が減っただけで、脂肪がしっかり落ちたわけではありません。
しかも、エネルギー不足が続くと体は「飢餓状態」に入り、省エネモード(代謝を落とす状態)に切り替わります。
その結果…
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食べても消費しにくい体になる
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筋肉が減ってさらに代謝が下がる
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以前よりも太りやすい体質になる
👉 身近にいませんか?そんなに食べていないのに痩せなくて困っているという方…。
つまり「食べないほど痩せる」のではなく「食べないほど太りやすくなる」という逆効果になってしまうのです。
🔹 適正カロリーを摂ると代謝がスムーズに
人の体は、必要な栄養が入ってくると安心してエネルギーを使います。
きちんと適正カロリーをとることで…
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筋肉が維持され、基礎代謝が高いまま保たれる
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食べたものがスムーズに燃やされる
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活動量が増えて消費カロリーも自然とアップ
この「燃えるサイクル」が回るからこそ、痩せやすい体になるのです。

例えるなら、代謝は「焚き火の炎」
木(=食べ物=カロリー)を適量くべれば大きな炎でしっかり燃えますが、木を全く入れなければ炎は小さくなり、燃え残り(脂肪)が増えていきます。
🔹 適正カロリーを摂った方が痩せる実例
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ケース1:食事を抜いて痩せなかった人
朝食を抜き、昼も軽めにしていた40代女性。夕食はビールとおつまみのみの生活を続けていました。摂取カロリーは多くないものの、むしろ体重が増加。 -
ケース2:しっかり食べて痩せられた人
朝にご飯と卵、牛乳。昼に丼ぶりと味噌汁に小鉢(野菜もの)、夜はご飯半分と魚+野菜を食べるようにした男性。バランス良い食事で代謝が上がり、気づいたら半年で5kg減に成功。
👉 「食べているのに痩せた!」という成功例は、適正カロリーを確保して代謝を落とさなかったことがポイントです。
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食べないダイエット vs 適正カロリーダイエットの比較表
項目 | 食べないダイエット(カロリー不足) | 適正カロリーダイエット(必要量を摂取) |
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体重 | 最初は急激に減るが、その多くは水分・筋肉 | ゆるやかに減少し、脂肪が中心に減る |
筋肉量 | 分解されて減少、基礎代謝も低下 | 維持されるため、代謝は高いまま |
代謝 | 省エネモードに入り燃えにくい体質に | スムーズに働き、エネルギー消費が高い |
体調 | 疲れやすい・集中力低下・肌荒れ | 活力が出て、体調も安定しやすい |
リバウンド | 高確率で起きる(食べると一気に吸収) | 起きにくい(食べながら痩せる習慣が定着) |
長期的な 成功率 |
続かない・挫折しやすい | 続けやすく、成功率が高い |
✅ 体重減少の中身が違う
食べないダイエットは「筋肉や水分」が先に減るため、見た目がやつれやすく健康を損ねます。
一方、適正カロリーを守れば「脂肪を中心に減らす」ことができ、体型もきれいに変わることができるのです。
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代謝がカギ
食べないと「代謝ダウン」→痩せにくい体へ。
しっかり食べれば「代謝アップ」→痩せやすい体へ。
🔹 適正カロリーの目安
厚生労働省の基準によると…
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成人女性(活動量ふつう):1800〜2200kcal/日
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成人男性(活動量ふつう):2200〜2600kcal/日
例:ご飯150g~180g(茶碗1杯)=約240kcal
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鶏むね肉100g=約110kcal
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野菜炒め1皿=約150kcal
このように「主食+主菜+副菜」を揃えれば、意外と自然に適正カロリーに近づきます。
✅ ポイントまとめ
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極端にカロリーを減らすと代謝が下がり、痩せにくい体質になる
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適正カロリーを摂れば、筋肉を保ち代謝がスムーズになり、むしろ痩せやすくなる
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ダイエット成功の鍵は「食べない」ことではなく「正しく食べる」こと
✅ FAQ|よくある質問
Q. 夜は糖質を抜いた方がいい?
👉 抜く必要はありません。基本は食べてください。どうしても気になる方は夜は活動量が少ないので「お茶碗半分」程度に調整すると良いです。
Q. パンよりご飯の方が太らない?
👉 そうとは言い切れないです。同じ糖質を摂る分にはご飯でもパンでも変わりません。気を付けてほしいのは菓子パンです。菓子パンは糖質・脂質が高く主食には不向きです。シンプルなパンを選びましょう。
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“>Q. ダイエット中でも甘いものはNG?
❌ 完全に禁止する必要はありません
「甘いもの=絶対ダメ」と思って我慢しすぎると、その反動でドカ食いしてしまい、かえって失敗につながります。
大切なのは 量・タイミング・種類を工夫すること です。
1.量を決めて食べる
- プリン1個
- チョコレートなら1箱ではなく2〜3粒
👉 「ここまで」と決めて食べると罪悪感も減り、リバウンド防止につながります。
2.食べるタイミングは昼間がベスト
- 午前〜午後15時頃までが理想
- 夜遅くに甘いものを食べると、消費されず脂肪になりやすいです。
👉 仕事や勉強の合間に、エネルギー補給として少量の甘いものを楽しむのはむしろ効率的。
3.種類を工夫する
- 洋菓子(ケーキ・ドーナツ)より、和菓子(大福・ようかん)の方が脂質が少なく太りにくい
- フルーツやヨーグルトをおやつにすれば、自然な甘み+ビタミン・食物繊維も摂れる
- チョコはカカオ70%以上のビターチョコを選ぶと、血糖値の急上昇を防げる
甘いものを上手に取り入れると…
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ririko
- 我慢によるストレスが減って、ダイエットが長続き!
- 適度な糖質で脳の集中力もアップします。
- 「食べても大丈夫」という安心感でメンタルが安定しますよ。
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✅ 食べてOKな糖質・避けたい糖質
食べてOKな糖質
- お米(玄米・雑穀米)
- オートミール
- シンプルな食パン、全粒粉パン
- 芋類
- 果物(1日1〜2個まで)
避けたい糖質
- 菓子パン
- 清涼飲料水
- スナック菓子
- 砂糖たっぷりのスイーツ(たまのご褒美として取り入れる・習慣化しない)
まとめ|糖質もカロリーも「正しく食べれば味方になる」
ここまで見てきたように、
- 糖質は脳や体を動かす大切なガソリン
- ゼロにしてしまうと筋肉減少やリバウンドのリスク大
- きちんと適正カロリーをとることで代謝がスムーズになり、むしろ痩せやすくなる
ということが分かりました。
つまり「糖質=悪」「カロリー=敵」という考えは誤解であり、
正しいバランスで食べることこそが、健康的に痩せるための一番の近道なのです。
🍚 今日からできる実践ポイント
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糖質は抜かない。(麦ごはんや雑穀米にすると尚良し!)
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1日の炭水化物量は主食(ご飯茶碗3~4杯)が目安
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適正カロリーを守り、代謝を落とさない
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甘いものは「少量・昼間・種類を選ぶ」のルールで楽しむ
🌱 管理栄養士からのメッセージ
食事制限で無理に痩せようとするのではなく、「正しく食べる」ことで自然と痩せやすい体は作れます。
糖質もカロリーも、あなたの体を支える大切な味方です。なんて言っても健康が第一、健康な体でないとダイエットもできません。
ぜひ今日から「食べる=敵」という思い込みを手放し、体が喜ぶ食べ方を実践してみてくださいね(^^)
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